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COOL HAND

古物商許可番号
第731269400017号
(広島公安委員会)

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随筆 「天獄」 ここは天国か地獄か


 ついに地球の最後の日が来た。
 巨大な隕石が地球に衝突した後、
 地球は太陽系の軌道から出た。
 これが地球上の圧力を上昇させた。
 非常に重い重力によって、
 人々は粉砕されようとしている。

 時間の概念さえも無効になった。
 地球は24時間では自転せず、
 365日でも公転しないからだ。
 地球は暗くなってからまだ夜明けに達していない。
 次に同じシーズンになるまでの日数すらわからない。

 ついに私は呼吸が困難になった。
 地球上にはもう空気が少ないのだろう。
 太陽光を受けられない植物は光合成できず
 空気を作ることができない。
 暗闇が続くと、空気は地球から消えるのだ。
 ああ、私の意識は薄れてきた。
 ああ、地球は終わりだ。
 地球は地獄に行くのだろうか?
 
 「まあ、どうしたの?ナーちゃんがあなたの
 顔の上で寝ているよ」
 それは嫁さんの声だった。彼女は大笑いしている。
 
 我が家に住み着いた可愛いメス猫はナーオンと言う。
 彼女はニャーと鳴かない。彼女はナーオンと鳴くのだ。
 「なんとなく、ニャンと鳴く」のキャッチフレーズと共に
 アンニュイアイドルとしてデビューしたこの娘は出産後に
 アイドル引退をさせたが、今でも町内会の人気no.1の
 アイドル猫である。子ウサギのようなフォルムに
 エメラルドグリーンのつぶらな瞳、すこしハスキーな歌声は
 シルヴィ・ヴァルタンをも彷彿させる。
 
 おお、ここは天国だろうか。小悪魔アイドルの
 可愛いナーちゃんが私の顔の上で寝ているのか。
 「ナーちゃん、お父さんは呼吸ができないよ。
 でも気持ちいいからここにいておくれ。モフモフ」
 いや、しかし私は苦しい。
 呼吸確保が困難になってきた。
 どいてもらおうと息をフウフウと吹きかけたが
 それが暖かくて気持ちよいのか、完全に私の顔の上に
 鎮座してしまった。
 呼吸できない、暑い、重い、しかし気持ちいい。
 ここは天国か地獄か?
 
 
 そもそも天国だの地獄だのというのは
 死んでからの事であって、生きてるうちに
 悩む事ではない。

 生きていて、どうしようもなくもがき苦しむ場面は多々ある。
 しかしそれは客観的に見るとしょうもなく滑稽な
 場面であったり、たわい無い馬鹿げた場面である。

 天国に逝った友人達はそんな私を見てはらをかかえて
 笑っているだろう。
 それがこの世で窺い知ることのできる「天獄」なのだから。

 本編を天に召された悪友達に捧げる。
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